手術室映像機器に求められるもの~メディカルモニター編
「最近のテレビは高性能だから、手術用モニターなんて、安価に購入できるテレビでもいいのでは?」と考えたことはありませんか。我々もよくお客様から聞かれることがあります。
なぜ、手術用モニターには専用機器が求められるのでしょうか。別に”医療向けだから”という理由のみで高価なわけではありません。
手術用モニターは、映し出された医療画像によって医師が正確な診断を行うことができ、モニター表示能力の問題によって医療上の判断を見誤ることが起きないよう、調整されています。 非常に高精細で細部まで確認できるようになっており、色むらの少ない均一な表示や高輝度・高コントラストな表示が可能となっています。 また、モニターごとに発色に微妙な違いがあったり、経年劣化によって発色が変わってしまうといったことも極力生じないことが求められています。
主に、以下の4点が要求される機能と言われています。
- 高解像度
- 高輝度・高コントラスト
- 多階調
- 精度管理
モダリティ毎に要求される解像度に違いはありますが、500万画素から130万画素までの解像度クラスが医療用モニターとして、よく使われています。
輝度が変動するとグレースケール特性も変動するため、輝度が安定しないモニターは医療用に適しません。その為に各社、ガンマ特性や白色点、輝度の安定化システムを搭載し、安定した表示を実現できるようになっています。
医用画像では、より微細な陰影や、わずかな濃淡差を忠実に再現することが求められます。そこで医用画像表示モニターでは、ルックアップテーブル(LUT)と呼ばれる階調を変換するテーブルをもち、より滑らかな階調のグレースケール特性に変換を行う必要があります。
医療用モニターでは、いかに精度の高い画像を維持・管理して行くかという課題があります。各社、パワーセーブ機能を充実させたり、ソフトウェアによる管理を施したりと、一般向けとは違った管理機能を搭載しています。
手術用モニターに要求されること
- 壁掛けや天吊りなどの設置要件に適応(天吊りは22~26型、壁掛けは40型以上がトレンド)
- 各種医療規格取得のほか、防塵防水の基準を満たすこと
- X線画像、内視鏡画像など様々な医療情報を参照する為、集約表示が要求される
- 主に内視鏡、顕微鏡利用の場合、左右反転機能が要求される
- モダリティに4K対応が増えつつあり、天吊り、壁掛け共に4Kのモニターが要求される
- 保証期間は5年:税法で定める耐用年数が5年であるのと、薬事法で定める医療機器の耐用期間も5年に設定されている為。